Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
九十五
「あれは出来るんですって。けれどもそうこっちの都合の好いように、ちょっくらちょいとという訳には行かないんでしょう」
「この暮のうちには六ずかしいのかね」
「とても」
「困るだろうね」
「困っても仕方がありませんわ。何もかもみんな運命なんだから」
細君は割合に落付いていた。何事も諦らめているらしく見えた。
九十五
見知らない名刺の持参者が、健三の指定した通り、中一日置いて再び彼の玄関に現れた時、彼はまだささくれた洋筆先で、粗末な半紙の上に、丸だの三角だのと色々な符徴を附けるのに忙がしかった。彼の指頭は赤い印気で所々汚れていた。彼は手も洗わずにそのまま座敷へ出た。
島田のために来たその男は、前の吉田に比べると少し型を異にしていたが、健三からいえば、双方とも殆んど差別のない位懸け離れた人間であった。
彼は縞の羽織に角帯を締めて白足袋を穿いていた。商人とも紳士とも片の付かない彼の様子なり言葉遣なりは、健三に差配という一種の人柄を思い起させた。彼は自分の身分や職業を打ら明ける前に、卒然として健三に訊いた。――
「貴方は私の顔を覚えて御出ですか」
健三は驚ろいてその人を見た。