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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

四十八

彼の思索は突然截ち切られた。彼は苦い顔をして室の入口に手を突いた下女の方を顧みた。

「何もそう度々来て、他の邪魔をしなくっても好さそうなものだ」

彼は腹の中でこう呟やいた。断然面会を謝絶する勇気を有たない彼は、下女を見たなり少時黙っていた。

「御通し申しますか」

「うん」

彼は仕方なしに答えた。それから「御奥さんは」と訊ねた。

「少し御気分が悪いと仰しゃって先刻から伏せっていらっしゃいます」

細君の寐るときは歇私的里の起った時に限るように健三には思えてならなかった。彼は漸く立ち上った。

四十八

電気燈のまだ戸ごとに点されない頃だったので、客間には例もの通り暗い洋燈が点いていた。

その洋燈は細長い竹の台の上に油壺を篏め込むように拵えたもので、鼓の胴の恰形に似た平たい底が畳へ据わるように出来ていた。

健三が客間へ出た時、島田はそれを自分の手元に引き寄せて心を出したり引っ込ましたりしながら灯火の具合を眺めていた。彼は改まった挨拶もせずに、「少し油煙がたまるようですね」といった。

なるほど火屋が薄黒く燻ぶっていた。丸心の切方が平に行かないところを、むやみに灯を高くすると、こんな変調を来すのがこの洋燈の特徴であった。