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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

九十八

「どうも御忙がしいところを度々出まして」

彼は世事慣れた男であった。口で気の毒そうな事をいう割に、それほど殊勝な様子を彼の態度のどこにも現わさなかった。

「実はこの間の事を島田によく話しましたところ、そういう訳なら致し方がないから、金額はそれで宜しい、その代りどうか年内に頂戴致したい、とこういうんですがね」

健三にはそんな見込がなかった。

「年内たってもう僅かの日数しかないじゃありませんか」

「だから向うでも急ぐような訳でしてね」

「あれば今すぐ上げても好いんです。しかしないんだから仕方がないじゃありませんか」

「そうですか」

二人は少時無言のままでいた。

「どうでしょう、其所のところを一つ御奮発は願われますまいか。私も折角こうして忙がしい中を、島田さんのために、わざわざ遣って来たもんですから」

それは彼の勝手であった。健三の心を動かすに足るほどの手数でも面倒でもなかった。

「御気の毒ですが出来ませんね」

二人はまた沈黙を間に置いて相対した。

「じゃ何時頃頂けるんでしょう」

健三には何時という目的もなかった。

「いずれ来年にでもなったらどうにかしましょう」

「私もこうして頼まれて上った以上、何とか向へ返事をしなくっちゃなりませんから、せめて日限でも一つ御取極を願いたいと思いますが」