Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
しかしその子供の前にわが非を自白する事は敢てし得なかった。
「己の責任じゃない。必竟こんな気違じみた真似を己にさせるものは誰だ。そいつが悪いんだ」
彼の腹の底には何時でもこういう弁解が潜んでいた。
平静な会話は波だった彼の気分を沈めるに必要であった。しかし人を避ける彼に、その会話の届きようはずはなかった。彼は一人いて一人自分の熱で燻ぶるような心持がした。常でさえ有難くない保険会社の勧誘員などの名刺を見ると、大きな声をして罪もない取次の下女を叱った。その声は玄関に立っている勧誘員の耳にまで明らかに響いた。彼はあとで自分の態度を恥た。少なくとも好意を以て一般の人類に接する事の出来ない己れを怒った。同時に子供の植木鉢を蹴飛ばした場合と同じような言訳を、堂々と心の裡で読み上げた。
「己が悪いのじゃない。己の悪くない事は、仮令あの男に解っていなくっても、己には能く解っている」
無信心な彼はどうしても、「神には能く解っている」という事が出来なかった。もしそういい得たならばどんなに仕合せだろうという気さえ起らなかった。彼の道徳は何時でも自己に始まった。そうして自己に終るぎりであった。