Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
「己はそんな事で人と離れる人間じゃない」
自分を細君に説明しようと力めなかった彼も、独りで弁解の言葉を繰り返す事は忘れなかった。
しかし細君の父と彼との交情に、自然の溝渠が出来たのは、やはり父の重きを置き過ぎている手腕の結果としか彼には思えなかった。
健三は正月に父の所へ礼に行かなかった。恭賀新年という端書だけを出した。父はそれを寛仮さなかった。表向それを咎める事もしなかった。彼は十二、三になる末の子に、同じく恭賀新年という曲りくねった字を書かして、その子の名前で健三に賀状の返しをした。こういう手腕で彼に返報する事を巨細に心得ていた彼は、何故健三が細君の父たる彼に、賀正を口ずから述べなかったかの源因については全く無反省であった。
一事は万事に通じた。利が利を生み、子に子が出来た。二人は次第に遠ざかった。やむをえないで犯す罪と、遣らんでも済むのにわざと遂行する過失との間に、大変な区別を立てている健三は、性質の宜しくないこの余裕を非常に悪み出した。
七十八
「与しやすい男だ」
実際において与しやすい或物を多量に有っていると自覚しながらも、健三は他からこう思われるのが癪に障った。