Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
八十七
これらの物を買い調えた彼は毫も他人について考えなかった。新らしく生れる子供さえ眼中になかった。自分より困っている人の生活などはてんから忘れていた。俗社会の義理を過重する姉に比べて見ると、彼は憐れなものに対する好意すら失なっていた。
「そう損をしてまでも義理が尽されるのは偉いね。しかし姉は生れ付いての見栄坊なんだから、仕方がない。偉くない方がまだ増しだろう」
「親切気はまるでないんでしょうか」
「そうさな」
健三はちょっと考えなければならなかった。姉は親切気のある女に違いなかった。
「ことによると己の方が不人情に出来ているのかも知れない」
八十七
この会話がまだ健三の記憶を新しく彩っていた頃、彼は御常から第二回の訪問を受けた。
先達て見た時とほぼ同じように粗末な服装をしている彼女の恰好は、寒さと共に襦袢胴着の類でも重ねたのだろう、前よりは益丸まっちくなっていた。健三は客のために出した火鉢をすぐその人の方へ押し遣った。
「いえもう御構い下さいますな。今日は大分御暖かで御座いますから」
外部には穏やかな日が、障子に篏めた硝子越に薄く光っていた。
「あなたは年を取って段々御肥りになるようですね」