Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
健三の紙入がそれだけの実質で始終充たされていない事はその所有主の彼に知れているばかりで、御常に分るはずがなかった。三度目に来る御常を予想した彼が、三度目に遣る五円を予想する訳に行かなかった時、彼はふと馬鹿々々しくなった。
「これからあの人が来ると、何時でも五円遣らなければならないような気がする。つまり姉が要らざる義理立をするのと同じ事なのかしら」
自分の関係した事じゃないといった風に熨斗を動かしていた細君は、手を休めずにこういった。――
「ないときは遣らないでも好いじゃありませんか。何もそう見栄を張る必要はないんだから」
「ない時に遣ろうったって、遣れないのは分ってるさ」
二人の問答はすぐ途切れてしまった。消えかかった炭を熨斗から火鉢へ移す音がその間に聞こえた。
「どうしてまた今日は五円入っていたんです。貴夫の紙入に」
健三は床の間に釣り合わない大きな朱色の花瓶を買うのに四円いくらか払った。懸額を誂らえるとき五円なにがしか取られた。指物師が百円に負けて置くから買わないかといった立派な紫檀の書棚をじろじろ見ながら、彼はその二十分の一にも足らない代価を大事そうに懐中から出して匠人の手に渡した。