Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
「つまり身代りに誰かが死ななければならないのだ」
彼の観念は夢のようにぼんやりしていた。詩として彼の頭をぼうっと侵すだけであった。それをもっと明瞭になるまで理解の力で押し詰めて行けば、その身代りは取も直さず赤ん坊の母親に違なかった。次には赤ん坊の父親でもあった。けれども今の健三は其所まで行く気はなかった。ただ自分の前にいる老人にだけ意味のある眼を注いだ。何のために生きているか殆んど意義の認めようのないこの年寄は、身代りとして最も適当な人間に違なかった。
「どういう訳でこう丈夫なのだろう」
健三は殆んど自分の想像の残酷さ加減さえ忘れてしまった。そうして人並でないわが健康状態については、毫も責任がないものの如き忌々しさを感じた。その時島田は彼に向って突然こういった。――
「御縫もとうとう亡くなってね。御祝儀は済んだが」
とても助からないという事だけは、脊髄病という名前から推して、とうに承知していたようなものの、改まってそういわれて見ると、健三も急に気の毒になった。
「そうですか。可愛想に」
「なに病気が病気だからとても癒りっこないんです」
島田は平然としていた。