Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
九十三
健三の言葉は勢い権柄ずくであった。傷けられた細君の顔には不満の色がありありと見えた。
機嫌の直った時細君はまた健三に向った。――
「そう頭からがみがみいわないで、もっと解るようにいって聞かして下すったら好いでしょう」
「解るようにいおうとすれば、理窟ばかり捏ね返すっていうじゃないか」
「だからもっと解りやすいように。私に解らないような小六ずかしい理窟はやめにして」
「それじゃどうしたって説明しようがない。数字を使わずに算術を遣れと注文するのと同じ事だ」
「だって貴夫の理窟は、他を捻じ伏せるために用いられるとより外に考えようのない事があるんですもの」
「御前の頭が悪いからそう思うんだ」
「私の頭も悪いかも知れませんけれども、中味のない空っぽの理窟で捻じ伏せられるのは嫌ですよ」
二人はまた同じ輪の上をぐるぐる廻り始めた。
九十三
面と向って夫としっくり融け合う事の出来ない時、細君はやむをえず彼に背中を向けた。そうして其所に寐ている子供を見た。彼女は思い出したように、すぐその子供を抱き上げた。
章魚のようにぐにゃぐにゃしている肉の塊りと彼女との間には、理窟の壁も分別の牆もなかった。