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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ」

彼女の返事はこれぎりであった。そうして月末が来ても会計簿はついに健三の手に渡らなかった。健三も機嫌の好い時はそれを黙認した。けれども悪い時は意地になってわざと見せろと逼る事があった。そのくせ見せられるとごちゃごちゃしてなかなか解らなかった。たとい帳面づらは細君の説明を聴いて解るにしても、実際月に肴をどれだけ食たものか、または米がどれほど要ったものか、またそれが高過ぎるのか、安過ぎるのか、更に見当が付かなかった。

この場合にも彼は細君の手から帳簿を受取って、ざっと眼を通しただけであった。

「何か変った事でもあるのかい」

「どうかして頂かないと……」

細君は目下の暮し向について詳しい説明を夫にして聞かせた。

「不思議だね。それで能く今日まで遣って来られたものだね」

「実は毎月余らないんです」

余ろうとは健三にも思えなかった。先月末に旧い友達が四、五人でどこかへ遠足に行くとかいうので、彼にも勧誘の端書をよこした時、彼は二円の会費がないだけの理由で、同行を断った覚もあった。

「しかしかつかつ位には行きそうなものだがな」

「行っても行かなくっても、これだけの収入で遣って行くより仕方がないんですけれども」