Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
三十二
「小学校の卒業証書まで入れてある」
その小学校の名は時によって変っていた。一番古いものには第一大学区第五中学区第八番小学などという朱印が押してあった。
「何ですかそれは」
「何だか己も忘れてしまった」
「よっぽど古いものね」
証書のうちには賞状も二、三枚交っていた。昇り竜と降り竜で丸い輪廓を取った真中に、甲科と書いたり乙科と書いたりしてある下に、いつも筆墨紙と横に断ってあった。
「書物も貰った事があるんだがな」
彼は『勧善訓蒙』だの『輿地誌略』だのを抱いて喜びの余り飛んで宅へ帰った昔を思い出した。御褒美をもらう前の晩夢に見た蒼い竜と白い虎の事も思い出した。これらの遠いものが、平生と違って今の健三には甚だ近く見えた。
三十二
細君にはこの古臭い免状がなおの事珍らしかった。夫の一旦下へ置いたのをまた取り上げて、一枚々々鄭寧に剥繰って見た。
「変ですわね。下等小学第五級だの六級だのって。そんなものがあったんでしょうか」
「あったんだね」
健三はそのまま外の書付に手を着けた。読みにくい彼の父の手蹟が大いに彼を苦しめた。
「これを御覧、とても読む勇気がないね。ただでさえ判明らないところへ持って来て、むやみに朱を入れたり棒を引いたりしてあるんだから」