Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
三
「馬鹿、いちいち役得のつもりでデレデレしていると、限がねえぞ、少なく積って三百人や四百人は居るだろう」
「親分は?」
「俺は昼寝をしながら考え事をするよ」
平次はこうして江戸中の岡っ引が思いも寄らなかった組織的な捜査網を張ったのでした。
三
それから半月経ったある日江戸の街々の甍の上に泳いだ鯉幟が影を潜めると、長い旅に出ていた平次はどこからともなく、神田の家へ帰って来ました。
「今帰ったよ」
「あ、お前さん――、お帰んなさい」
飛んで出た女房のお静は、片襷をかなぐり棄てるように、縋り付きたいのを我慢しいしい、姉さん冠りの手拭を取って、平次の肩から裾へ、旅の埃を払ってやるのでした。
「留守中誰も来なかったかい」
「え、どなたもいらっしゃいません」
「お品さんと八が来るはずだが――」
平次はそう言いながら、井戸端で足を洗って、清々した浴衣に着換えていると、八五郎とお品が伴れ立ってやって来ました。
「親分、お帰んなさい――、半月昼寝をしていたにしちゃ、陽に焦けたね」
「つまらねえ事を覚えていやがる、ところで早速だが、頼んだ事はどうした」
平次はお品に座蒲団を勧めながら、明るい初夏の光を浴びて、何の憚る様子もなくこう八五郎に話しかけるのでした。