Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
人にけががあってもならず、鐘に傷をつけてもならぬ。一同は緊張して鎖をにぎった。
「天にましますわれらの父よ」
一声祈って、ガラ、ガラ、ガラ、と引く、引いては止めてまた祈る。
「ねがわくはみ名の尊まれんことを」
祈りをとなえてさらに引く。鎖はぴんと張ってきた。
「み国の来たらんことを」
み国の存在をあまねく知らすこの鐘を空高くつり上げよ、と鎖を引く。
「み旨の天に行なわるるごとく地にも行なわれんことを」
鐘は宙に浮いた。祈っては引く鎖は煉瓦の底にうずもれていた鐘を自由の空高くつり上げてゆく。
夏陽は稲佐山に落ちようとして赤光が廃虚を照らす厳粛なひととき、ついに信仰の鐘は煉瓦の山の上に美しい姿を静止した。私は身じろぎもせずその情景を見守っていた。
はるかに、はるかに南の港の方から荒野を越えてかすかな鐘の音が聞こえてきた。あれは大浦天主堂の鐘だ。昔は六キロ離れたここまでは響かなかったものだが、町がなくなり林が払われたので音が届くのであろう。
「お告げの祈りをしよう」
と山田さんが言ってひざまずいた。青年たちもその場にひざまずいて、いっせいに、
「聖父と聖子と聖霊とのみ名によりて、アーメン」