Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
馬車ひきさんだったが、今日は向こうはちまきをしておらぬので、すぐには見当がつきかねた。仲人さんらしく威厳を保って通りすぎる。製材所のおやじがやっぱり紋付き姿で、今日は髪をきちんと分けている。そのあとから二、三人めずらしくネクタイなんか結んだ青年が現われて下手へ退場したあとへ、四、五歩の間をおいて、花嫁さんが上手より登場だ。荒野を花束が泳いでゆくようである。登場したなと思うまもなく、すうっと退場してしまったが、やっぱり舞台には華やかな空気が残っている。その中をがやがやとカヤノの仲間が続いて通りすぎた。
結婚を近所じゅうのものが祝い喜ぶのは、やがて子供が生まれるのを予期するからである。新しい、美しい生命がこの花嫁さんから生まれでるからである。ことに花むこさんは花嫁さんと結ぶことによって、永遠につづく生命にわれを転ずることができるのでだれにもまして大喜びだ。
私と同年輩のやもめ仲間はつぎつぎと相手を見つけて結婚した。早いのは赤ん坊を抱いて見舞いに来たりする。いかにも幸福そうに見える。私は──
私は長わずらいの床に寝たきりだ。こんな無一物の廃人のところへお嫁さんに来てくれる物好きな女もおらぬ。