Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
三
「萩乃さんとかいいましたね。サ、おいらといっしょに来るんだ」
サテは、恋に狂ったか丹下左膳。
泣きさけぶ萩乃を、一本しかない左手にギュッと抱きかかえ、口に濡れ燕をくわえた丹下左膳。そのまま縁の雨戸を蹴やぶって、庭へ、暗黒の樹だちのかげへ。
三
左膳の口にくわえている濡れ燕……五月雨に濡れた燕ならで、これは、血に濡れた怪鳥、濡れ燕。
その妖刀から、何人かの冷たい血潮が、刃を伝わってしたたり落ちる。
雲のどこかに、新月が沈んでいるのであろう。庭木の影の重なるあたりに、あるかなしかの夜光が、煙のように浮動している――あわい闇夜。
なかば気を失った萩乃は、左膳の口の濡れ燕から、しずくのように落ちる血が、その白い首筋に、二筋三筋の赤縞をえがいているであろうのを、かすかに意識しただけだった。
口をきけば、刃が、愛する萩乃の上へ……左膳は、重い大刀をグッと歯にかんだまま、ハッハッと吐く荒い息が、萩乃の顔へ、肩へ。
「あなたは、いつぞや門之丞を斬ったお浪人、どうして今夜、またあの鎧櫃のなかへなど忍んで――そして、わたくしをさらい出して、どうなさろうというのでございます」