Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
十
ドッと人ごみがどよめきわたったかと思うと、このトンガリ長屋の路地へ、また一丁、駕籠がかつぎこまれたのだ。
騒ぎたつ人々のなかへおりたったのを見ると、武家屋敷の若後家らしい、品のよい女性ひとり。
供も連れずに、何しにこの、夜の貧民窟へ?
と思ううち、女はすばやく人をかきわけて、作阿弥の前へ出た。
「あ! お父様、しばらく!」
「ウム、お蓮か――!」
その声をうしろに聞いたお蓮様、もうサッと家へ駈けあがって、アッというまにだきしめたのは、小さなお美夜ちゃんのからだでした。
一同はあっけにとられて、声もない。
十
「誰?」
と、お美夜ちゃんはいぶかしげに、お蓮様の顔を見あげながら、苦しそうに身もだえして、だきしめる腕のなかからすり抜けようとあせる。
雨のようなお蓮様の涙が、あお向いたお美夜ちゃんのかあいい顔へ、かかる。
「お母さんですよ。コレ! おまえの母者ですよ」
お蓮様はなおも懸命に、小さいお美夜ちゃんの骨がきしむほど、だきすくめようとするのです。
チョビ安はぽかんとして、
「こいつア妙ちきりんな芝居になったものだなあ」
泰軒が作阿弥へ、
「これは、どういう……?」