Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
左膳は萩乃を引っかかえて、そのあき地へ切れこんだ。小暗い隅へ走りこむと、やっと萩乃をはなして、左手に持ちかえた濡れ燕を、自分の着物の裾でスウーッとふきつつ、
「萩乃さんとやら、おどろくことはねえ。おれはこのあぶない橋をわたって、おめえさんをむけえに来たのだ」
牡丹の大輪が落ち散るように、萩乃は地面に居くずれたまま、身動きもしない。言葉もない。
その、あやしくも美しい萩乃のさまを眼のあたりにして、左膳の胸は麻と乱れざるをえませんでした。
あらゆる世の約束を断ち切り、男と男のあいだの問題を解決するには左膳の手に利刃濡れ燕がある。だがこの恋の迷い、おのが心のきずなだけは――。
このひとに宛てて、あの恥ずかしい、まわらぬ筆の恋文を、書いたこともあったっけ。
今その当の萩乃は、こうして自分の足もとに、おそれおののいている。
手をのばせば、すべてじぶんのものに……。
虹のような、熱い長い息とともに、左膳はひとこと。
「泣きなさんな。なア、おめえさん、源三郎を思っていなさるだろう。その恋しい源三に、会わしてやろうじゃアねえか。おいらが手引きを……」
「え?」
心の暁闇