Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
では、どうぞ……」
冷飯草履を突っかけた作阿弥は、竹の杖を手に、一歩路地へ踏みだそうとした。
家のなかから土間、路地へかけて、長屋の人で身動きもならない。
「かわいそうに作爺さん、どんな悪いことをしたか知らねえが、あんな仏みてえな人だ、ゆるしてやればいいのに」
と、なかには何か勘ちがいして、作爺さんがお召捕りにでもなったようなことを言うやつもある。ねいりばなをこの騒ぎにたたき起こされて、寝ぼけているんです。
「日光へ連れてゆかれるということだが、ときどきは長屋を思い出して、たよりをしてくだせえよ、ナア」
「ところが変わると、水あたりするというから、気をつけなさるがいいぜ、お爺さん」
別離は、このトンガリ長屋でさえも、いささかセンチだ。
上り框に仁王立ちになった蒲生泰軒は、左右の手に、チョビ安とお美夜ちゃんの頭をなでながら、髯がものを言うような声で、
「蜀漢の劉備、諸葛孔明の草廬を三たび訪う。これを三顧の礼と言うてナ。臣、もと布衣……作阿弥殿、御名作をお残しになるよう、祈っておりますぞ。お美夜坊と安のことは、拙者がどこまでも引き受けた」
泰軒居士、いつになくかたくなって、そう言ったときだった。