Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

「娘なのじゃ」

と作阿弥は憮然として立ったまま、じっとお蓮様を見すえています。

浮き世の労苦を、幾十本の深いしわときざんだ顔には、感慨無量の色が浮かんで、

「わしの娘じゃが、某所へ腰元にあがったまま、ズルズルベッタリに後添いに直ったのち、今日今夜までなんの音沙汰もなく――泰軒殿聞いてくだされ。このお美夜坊は、こいつが屋敷へあがる前にできた子供でござる」

急に作阿弥は、おそろしい眼つきになって、お蓮様をにらみつけた。

「今ごろになって、里心がついたのか。身がってなやつめ! 貴様に子のかあいさがわかったところをみると、よほど悪い星にめぐり会って、世のはかなさを知ったものと見えるナ」

畳に手をついたお蓮様は、片手の袖口を眼へやって、

「どうぞ、何もおっしゃらないでくださいまし。頼りになるのは、このたった一人の小さな娘だけ……ということが、わたしの胸にもハッキリ落ちて、それでこんなに、前非を悔いてまいりましたものを」

「苦しむがよい! いくらでも泣くがよい! はぶりのよいときは、同じ江戸におりながら鼻ひとつ引っかけるでなし、今になって――どうだ、お蓮! わしがお前に飲まされた煮え湯の味が、いま貴様にわかったか」