Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
五
お美夜ちゃんを狂喜させたのだった。
が、それは、あとのこと。
お美夜ちゃんを帰すとすぐ、急に、忠相の顔に真剣の色がみなぎった。
「いつもながらたのもしい泰軒じゃ。言葉を番えたことは、かならず実行する。どうして手に入れたか知らぬが、四方八方から眼の光っておるこのこけ猿、よくも泰軒の手に落ちたものじゃ」
忠相は壺をかかえて、静かに居間へもどった。
燭台を引き寄せて、壺の蓋をとった。
この壺のなかには。
柳生の先祖がどこかに埋ずめてある、何百万、何千万両かの大財産の所在を示す古い地図が、はいっているはず。
そして。
その秘図一つに、いまや柳生一藩の生命がかかり、また、いつの世も変わらぬ我欲妄念の渦がわきたっているのだ。
パッと壺の蓋をとった越前守、中をのぞいた。
と、何ひとつはいっていないではないか!
灯のほうへ壺の口を向けて、もう一度中をしらべてみた。
狭い壺のなか、一度見てないものは、二度見てもない。すると、
「ハハア、そうか……」
忠相のおだやかな顔が、ニッコリほころびた。
五
柳の影が、トロリと水にうつって、団々たる白い雲の往来を浮かべた川が、遠く野の末にかすんでいる。