Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
はじめは、水の底で風の音を聞くような、ボンヤリした気持でいた将軍吉宗も、あまりその人声がいつまでも続くので、眠りにおちようとしていた意識を呼びもどされた。
むろん、眠りのじゃまになるというほどではない。遠くかすかに、低く伝わってくるのだが、耳についてならないので、吉宗は、枕もとの鈴をふった。
近習の一人が、お夜着の裾はるかの敷居際に、手をついて、
「お召しでございましょうか」
「ウム、愚楽の声がするようだが」
「ハ、お耳にとまって恐れ入ります。愚楽様と、南町奉行大岡越前守様御同道で、夜中この時ならぬ時刻にお目通り願いいでておりまする。おそば御用、間瀬日向守様が、おことわり申しあげておりますので」
「ナニ、愚楽と越前とが、余に会いたいと申すか」
「壺? こけ猿?」
ハハア、来たな……と思うと、吉宗公は、さっとお夜着をはねのけて、起きあがった。白倫子に葵の地紋を散らしたお寝間着の襟を、かきあわせながら、
「苦しゅうない。両人ともこれへまかり出るように、間瀬にそう申せ」
とこの時はずれの夜中、御寝所でお眼通りをおおせつける――よほどの大事件に相違ないと、近侍は眼をまるくしてさがってゆく。