Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
穴は、ポッカリ地上に口をひらいて、暗黒をすいこんでいるばかり……のぞいてよばわっても、なんの答えあらばこそ。
子供の力では、どうすることもできないのだ。
「父! ああ、どうしたらいいだろうなア」
チョビ安は気がふれたように、地団駄をふむだけだ。
とやかくするうちに――はや、夜。
「むこうの森の権現さん
ちょいときくから教えておくれ
あたいの父はどこへ行った……」
うらさびしい唄声が、夜風に吹きちらされて、あたりの木立ちへこだまする。
「ほんとに、あたいほど不運な者があるだろうか。産みの父やおふくろの顔は知らず、遠い伊賀の国の生れだということだけをたよりに、こうして江戸へ出て――」
チョビ安、穴のふちに小さな膝ッ小僧をだいてすわりながら、自分を相手にかきくどく言葉も、いつしか、幼い涙に乱れるのだった。
「こうして江戸へ出て、その父やおふくろを探していたが、なんの目鼻もつかず、そのうちに、この丹下左膳てエ乞食のお侍さんを、仮りの父上と呼ぶことにはなったものの、その父上も、とうとう穴の中に埋められてしまっちゃア、もぐらの性でねえかぎり、どうも助かる見込みはあるめえ」