Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

――あなたが大切に思っているもののあるのは判っています。仮にもあなたを愛している者が、どうしてそれを捨てろなどと云います!――私は自分をすてても、あなたを完成させて上げたい、と思っているほどです。決して私は家政婦を求めているのではない……私は元から、何か自分の仕事を持つ女のひとを助けて、立派なものにして見たい、と云う考えを持っていたのだが……力の足りないのが遺憾です」

伸子は嬉しさに思わずそこで棒立ちになった。

「本当? 本当にそうお思いになるの?」

「本当です! 御覧なさい」

佃も立ち止まり、伸子の両手を、自分の二つの掌の中に握って、彼女に顔を向けた。

「私を御覧なさい。――嘘は云いません」

「――有難う! 有難う!」

伸子は、涙ぐみながら、とられたままの両手を強く強く振り動かした。

「本当に有難う! どんなに嬉しいか、あなたにお解りになって? 有難う! ああ全く! 有難う」

伸子は、霜の下りた石のベンチに腰を下した。彼女は、この寒い夜の自然に向って、跪き、「この幸福を、私に授けて下すったのは、どなたですか。私はそれほど、恵み愛されていたのでしょうか」と、感謝したいほどであった。