Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
けれども、おそくももう二時間ばかりで、佃と別れなければならないとすると、彼女には、心がかりなことがもう一つあった。それは重大なことだ。佃も未だそれには一言も触れない。伸子は、いとぐちを見出すにまた新たな工合悪さを感じた。伸子はぎごちない風で、
「もう一つ大変なことがあるんだけれど――」
と云い出した。
「何ですか」
「…………」
伸子はつい云い渋った。
「何ですか」
「――……子供のこと」
「……解っています」
「どういう風に?」
今度は佃が躊躇した。
「つまり……」
「私は、悦んで、適当な境遇で育ててゆけないうち、子供は決して、どっちにとっても幸福でない、と思うのです。あなたの思っていらっしゃるのもそのこと?」
「そうです――仕事もあるし……」
「第一私どもは、二人でやっと生活をするに定っています。満足な教育も、させてやれない親になるのはいやよ。それに……私の心持の中に、何だかすらりと母親になれないものがあって――」
伸子は、低い声で云った。
「男のひとに、このこわさ解るかしら……こわくて堪らなくなるようなものがあるの、本能的に――」
すると、佃はひどく散文的に云った。