Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「どう? もう沸いたでしょう?」
と、湯沸しに触った。かけて三分も経っていなかった。
「まだかけたばかりですもの、もう少し待たなけりゃ駄目でしょう」
ミス・プラットは、なお、てのひらでアルミニウムの光った湯沸しの胴にさわりながら云った。
「かなり熱くなっていますよ」
「外側だけでしょう」
「ようござんすよ、もう!」
伸子は笑った。
「大変せっかちでいらっしゃること! 私、丁度よくして持って参りますから、あちらで待っていらっしゃるとようございます。わかっていますから」
彼女は、いつも物判りのよく、泰然としているミス・プラットが、湯ぐらいのことでせかつくのを、愛らしく面白く感じた。けれども、ミス・プラットは理窟なく、もう湯は沸いたと主張した。
「いいんですよ、確かにわきましたよ。――御覧なさい、音がしていますよ、おろしましょう」
彼女の、声や眼にある強情さが、ふと伸子を警戒させた。それは、早く彼方に行って皆と一緒になりたい、という、子供らしい気ぜわしさではなく、一徹な、何かに反抗するような頑張りであった。
「では消しましょう」
と、彼女はスイッチを切って客間へ運んだ。