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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

不安定な相互の心の状態で数分たつと、直子は、

「実はね」

と、本論に入った。

「今日およりしたのは、久しくお目にかからなかったこともあるし、それに少し、私の老婆心をきいて戴こうと思って上ったんですよ」

「そうお、有難う。――どんなことなの?」

「たいしたことじゃないんですけれどね……」

直子はその時、感情の動揺をまぎらそうとするように、手をあげて、一寸帽子をなおしながら云った。

「あなた――佃さんと大変お親しくなすっていらっしゃるんですって? この頃」

「そうよ」

「それについて――あなたもきっと御承知でしょうけれど、一年ばかり前、私大変佃さんに、いろいろ御厄介になっていたことがあるんですよ。勿論金銭上のことや何かではありませんけれどね、学課の手伝いをしていただいたり、仕事を紹介していただいたりして……」

直子は、云い出してしまうと、彼女のしっかりした気象をあらわして、よどみなく進んだ。

「本当にこちらへ来てから、やっとお近づきになっただけのお友達ですけれど、年もとっていらっしゃるので、私叔父さんにでも頼るような気がしましてね。――かなり永いおつき合いでしたから、私は、佃さんが人からかれこれ云われなさっても、決して下等な方ではないのは知っています。