Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
玄関に女下駄が揃えてあったので、伸子は木戸から庭へ廻った。西洋間の窓のアスパラガスの鉢植の蔭に、客の小ぢんまりした束髪の後つきが見えた。七月、佃を佐々に入籍させるさせないということで両親と衝突した時、伸子は、あの窓のところに立って汗と涙とを流した。伸子は、その時の自分の激しい言葉をはっきり思い出した。あれはもう過ぎたこと、生活は違った容貌を持っていま流れている、そういう感じが強く伸子をうった。
つや子とゴミかくしをしていると、客を送り出した母が、窓から首を出して伸子を呼んだ。
「二階へおいでな」
登って行くと、二間ずっと通して襖をあけ放ち、広い方に緋の毛氈を敷いてあった。大きな盆に、絵筆や筆洗絵具皿などをのせてある。多計代は、毛氈の上で唐紙を截っていた。伸子は、その光景を見ると、
「おや」
と云った。
「絵のお稽古? 泉さんがいよいよきて下さるようになったの?」
「ああ。何だのかだのと例によって、なかなか捗取らなかったのだけれど、やっとね。今日で二度目さ。この年で始めたんじゃあ、どうせ本ものになりっこはないから、せめて色紙ぐらい間誤つかないようになれば大出来としないじゃあね」