Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

見ると、昨日の朝と同じ食堂の入口に近い隅に、佃が来ている。彼の用向きは直ぐ察しられた。彼が、自分のところと定めたように一つの場所を占領しているのが、伸子に何となく彼の地道さを感じさせた。伸子は、くつろいだ気分で挨拶した。

「今日は――。父はまだ帰りませんが、私で分りますこと?」

伸子は彼と向って座をしめた。

「きのうお頼みを受けた新聞広告を出すようにして来ましたから、その受取を差し上げようと思いまして――」

「そう、どうも有難うございました」

伸子は渡された紙片を一寸見て手提の中にしまった。佃はその手元を見守りながら云った。

「それから――今朝ミルス・ホテル――お話した市営宿泊所ですが、あすこへも行って見ましたが、近頃の帳面にその名は見当りませんでした。……三月分出して貰ってよく見たのですが」

「まあ、そんなにいちどきにして下さらないでもいいのに」

伸子は、彼がどうしてそんな時間を持っているか驚いた。

「うちの父はああいういそがしがりやだから、願う時は大急ぎにごたごたお願いするけれども、貴方は、ゆっくり、お暇な時して下さればいいのよ」

「いいえ、かまいません。