Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子は、無邪気な気持で訊きかえした。

「なにが?」

「咳払いがさ、お前の。佃もそんな、乙う気取ったような咳払いをするよ」

伸子は、渋い、辛うじての薄笑いで唇を歪めた。

「……いやあだ、偶然よ」

「そうじゃあないよ、そっくりだよ、だって……」

伸子は、厭わしそうに、しかし穏やかに云った。

「そういちいち神経質に検査しないで頂戴よ、私は何の気なしにするんだから」

伸子は、和一郎がこの頃凝っている写真の、静物印画を一枚貰って帰った。

夕飯の時、伸子は佃に話した。

「今日はね、おひるっから動坂へ出かけたのよ、そして一つ、新しい発見をしてきたわ」

佃は、興味もなさそうに、

「へえ」

と云った。

「なんです」

「母様についてよ、少し違った考えかたになったの。これまで、私子供の時からの癖で、母様の云ったりしたりなさることを、あまり重大にとりすぎていたのかもしれないと思うのよ」

伸子は、今日印象を得て来た母の心の単純さ正直さを説明した。

「だから、いろんなものが――優しさでも、意地わるでも、その時々によって連絡なく、率直に無技巧に出るのね、きっと。どうしてやろうとか、こうしてやろうとか云うような計画的なものはないのよ、そうお思いなさらないこと?」