Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「……今日は特別ね、……」
伸子は真正面から日を受けている顔を伏せるようにし、そばの老人を顧みた。
「――まあ、お髯の光ること」
老人は自分から胸元を見下し、指を拡げて裏から白髯を扱いた。長い白髯は春の光の中で、支那素麺のように清らかに輝いた。
「何でお洗いになりますの?」
「玉子の白味で洗えと云われてな、伸したては珍しいもんじゃで根よくやったが、私のように出歩きの好きな者はどむならん――髯も日に焼けます、すぐ又、しょむない色になってしまいおる。……」
……長閑だ。……伸子は、自分の祖父と日向ぼっこでもしているようないい気持であった。
襖をあけて佃が入って来た。
「一寸電話をかけて来ます」
「ほう」
「何か用はありませんか」
「さて――どうでわが身も、後でどこぞへ出んならんと思うとるさかいに……」
伸子は、佃の着こんだ厚い黒マントや、毛糸の襟巻を見て笑った。
「――あついことよ、それじゃ、外は」
「そんなことはありません。――じゃ一寸行って来ます」
日当りのよい部屋から来ると、暫くは物もよく見えない陰の四畳半で、伸子が洗濯物をしまっているところへ、佃が手間をとって戻って来た。