Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
そこの小庭と軒先だけ日かげで、ひっそりしていた。机に頬杖をついてその様子を眺めながら、伸子は決断のつかない苦しい思いに耽っていた。佃も老人も、めいめいの出先におもむいて、家には彼女一人であった。
「御免なさい――おいでですか」
思いがけず横田が来た。
「まあ珍しいかた、――どうぞ」
横田は、どこか変った男であった。彼の妹が、伸子の父の会社に勤めていた青年と結婚した。ある時、その夫婦が、兄である横田をつれて来て、紹介した。駒込に暮していた時分のことであったが、それから、ごくたまに、数時間立ちよって喋って行った。彼自身の話によると、いろいろ語学ができるので、つい創作より翻訳をするのでいけない、と云う境遇にいるのであった。彼は玄関の隅にイムバネスをぬぎながら、耳が少し遠いので首を曲げ、丸い背をかがめるようにして伸子に訊いた。
「お一人ですか? 佃さんは?」
「今日は一寸出かけたの、でもじきかえるでしょう」
「休みでしょう、まだ」
「ええ。近いうちに学校へ宮様がいらっしゃるんですって、その相談よ」
「ああ」
横田は大きくうなずき、
「そうですか」
なお幾度も自分自身に合点をした。