Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「いや、決してそんな御遠慮には及びません。力の及ぶことは何なりお役に立ちましょうが」
最初とは、明らかに変った微かな気軽ささえ含んで、
「では、何ですな、まだはっきりこうと、実際の計画はお立てでないんですな」
伸子は、意気地なさを、座に堪えないほど自覚しつつ、ありのまま答えるしかなかった。
「手紙で申上げましたようにしようと、考えてはおりますのです。とても今までのままでは、やっては行けませんから」
「しかし、このまま、ずっとお別れになりきり、と云うわけでもないですな」
「……どうなりますか」
柚木先生は、
「いや」
と、伸子の方にこごんでいた背を延しながら、云った。
「伺って安心しました。お手紙の様子では大分お苦しみのようだし、御悧発でも御婦人だから、万一ひょっと何事かあってはと、老婆心を起したのですが――そのくらい考える余地をお持ちなら、大丈夫です」
伸子にとって、これらの言葉は苦しさを増すばかりであった。気でばかり思いつめ、結局実行し得ない優柔不断を、ていよく指摘されたとしか感じられず、情なかった。けれども、柚木先生は、そのような伸子の心持を、まるで心づかないように、次第に快活に話し進めた。