Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

歩道の赤白縞の日除けの下を色彩の強い服装をした女が靴の留金を燦かせて歩いて行く。薬種屋の硝子扉が日を照り返しつつ開いた。中から二人づれの男が出て来た。一人が、伸子の見ている窓の正面にある郵便箱に何か入れた。傍で一人が爪先をコトコトやっていたが、やがて連立つと、几帳面に角を廻って横町に見えなくなった。尻を振るようにしてきくりと曲った後姿に、伸子は我知らず笑った。空気は暖かく乾き、軽やかで、ガソリンの匂いが心地よく葉のない並木の梢に漂っている。伸子は、街路の活溌なにおいに心を誘われた。彼女は窓をしめ、寝室に行った。そして帽子をつけ、外套を着、さて戻って出すべき手紙をとりあげた時であった。

伸子は、異様な音響を聞いた。何処か遠いところで一声、急に、鋭く、長い尾を引っぱって汽笛が鳴ったと思うと、一時にあっちでもこっちでも、太い、唸る、顫える無数の汽笛が鳴り出した。音の林立という感じであった。ボーボー空気が濤のように揺れる。それに混り、ピーピー悲鳴のような他の汽笛が追っかけ追っかけ鳴る。伸子は思わず手紙を握りしめて部屋の真中に立ち竦んだ。何事が起ったのだろう! 彼女は、本能的に窓を押しあけ、外を覗いた。