Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

――騒ぎ立てるほど特殊な驚きも、急激な歎きも伝わって来ない。同時に、あれほど執念深く互の間にある確執が、今夜だけにしろ、すっかり消えたようなのに伸子は気づいた。中和した状態であった。――彼が、夫婦という関係をとりのぞいても、人として、健康な自分の助力が入用になったせいだろうか。

Pity……pity akin to love……

線香花火のようにそれらの文句が点いたり消えたりした。伸子は、彼が事実をかくしていた一日の間の心持などを考え、森とした気持になった。

伸子は、寝がえりした。佃もこちらを向いて眠っているらしい。彼のはく息が二つの床の中間で自分の息とまじるのを、伸子は寒い夜気の中で感じた。その感じは異常に鋭い意識を伸子に呼び醒した。伸子は思わず息をつめ、愕きを感じつつ、闇の中で目をみはった。彼女は、永いこと無意識につめていた息をはき出すと、次の吸いこみを自然にそっちを向いたままではできなくなった。伸子はできるだけそろそろ蒲団の中で仰向きに向きなおった。伸子は、自分に対し皮肉な心持になった。

朝になって、伸子は夢を見た。

佃が血を出したと云うので、自分が医者に電話をかけているところだ。