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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

佃が壁貼りをやめて、せめて、茶の一杯も仲間に入って飲んでくれたらどんなに和一郎も自分もくつろげるだろうかと、伸子は残念に思った。佃が働いているという意識が彼女の楽しさを曇らした。やがて佃は、脇の下へ紙の巻いたのを挾み、上に糊盆をのせた踏台を持って、彼らのいる六畳へ入って来た。

「ちょっとどいて下さい。ついでにここもやってしまいたいから」

「――本当にもうおやめにしてゆっくりしましょうよ、ね? 折角和一郎も来たんだから」

伸子にすれば、今日一日壁から風が入るくらい平気なのであった。けれども佃は、自分で茶盆などを片よせて、新聞をひろげ始めた。

仕方なく、彼らは、

「さあ、逃げだし逃げだし」

と、今度は茶の間へ行った。和一郎は椅子にかけている。境の障子をあけて話しながら、伸子は台所で働きだした。弟が無事であった心祝いのつもりが彼女にはあるのであった。

「何か註文ないこと? 今日は少し御馳走してもいいわ」

「素敵だな――何でもいいや」

「玄米でげっそりしていたんでしょ」

「うん、もう平気。――僕ね、一緒に食べさえすりゃいいんだから、あまり姉さん心配しない方がいいや。一人で大変だもん」