Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
眠りそうになると痙攣が襲った。体がびくりとする。そのたびに彼女は先刻と同じように呻いた。
「眠らせて……眠らせて……」
「ああ眠れますよ、さあおやすみなさい」
伸子はいつかそれでもとろりとした。体の節々がとろけるようになり、心が暗い遠い居心地よいとこへ引き込まれるようだ。伸子は髪のもしゃもしゃになった頭を枕に落し、一つ鼾をかきそうになった。妙な感覚で彼女は半醒した。何かが顔に触る。不意に柔かく永く一つの唇が彼女の唇に押し当てられた。全神経が目醒めた。佃の存在が灼きつくように甦った。伸子は体じゅうに新たな戦慄を感じながら、再び気を失いながら、佃の頸に両腕をまきつけ彼の唇に自分の唇を押しつけた。
誰かが、伸子の腕に触った。
「さあもう朝になりましたよ」
そして伸子の腕を佃からはなさせた。
「今度は私がいてさしあげます。この方もお寝みなさらなけりゃなりませんですからね」
他愛なく枕の上に腕が落ちた。伸子は視点の定まらない熱にうかされた眼で看護婦を見た。室内に流れる冷たい灰色の払暁の光線を感じた。伸子は反射的につぶやいた。
「そう――朝になった」
自分は眠ったのか眠らなかったのか一向はっきりせず、ただ一晩中うねる大波に揉まれていたような心身の疲労を極度に感じた。