Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
「あれ、丈太郎様、何を仰しゃいます。仮令何のような事があろうと、私は、私は――」
すがり付く事もならず、お園は涙を呑んで娘らしく俯向くばかりでした。
「いやいやそうでない、俺はこの通り言いようも無い悪逆無道な人間、お前は親もあり主人もあり、それに、若くて美しくて――」
「いえ、いえ、もうそんな事は聞かして下さいますな、それより丈太郎様、今からでも改心をするに遅い筈は御座いません、その仏像仏具を焚くことだけはフッツリ止して、元の丈太郎様に返って下さいまし、香木のお代は、お許し下さるなら、私が何んとか致しましょう」
お園も必死の気組、思わずいざり寄って、男の膝に手を掛けてしまいました。
「有難う、お園、その志は忘れないが、何んの因果か、俺はこの道楽が思い切れない」
丈太郎は思わずお園の手を取って、引き寄せるともなく、その泣き濡るる顔を差し覗きました。
娘の顔は一生懸命さに上気して、庭に咲いたばかりの八重桜のよう、涙に香ってたとえようもない美しさです。
「丈太郎様、丈太郎様」
「お園、堪忍してくれ」
二人は何時の間にやら、犇と抱き合って居りました。生れて初めて経験した、不思議な瞬間が、涙も、悔恨も、不安も、懊悩も洗い流して、残るものは、夢心地の陶酔ばかり、頬と頬と、唇と唇とが、二人の言葉にも、意志にも裏切って、慕い寄る