Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
強って聞けば、
――お取り捨になった――、
とだけ、お葬いを出すことも、死顔を一と眼見ることも出来ない有様です。
そのうちに日は経ちますが、丈太郎の嘆きは募るばかり、せめて邪道でも何んでも、好きな香でも焚いたら、紛れることもあろうと、盗み溜めた名木を削って、何くれと焚いて居ると、
誰やら閉したままの戸口に立ったものがあります。
「御免下さい、通りすがり、思わず名香の匂いに引き寄せられました。お窘みの程も奥床しい、近頃不躾乍ら、いささか用意の香も御座います。お合せ下されば仕合せに存じます」
物馴れた調子で斯う言うのは、一人の尼、中年者の豊満な身体を、墨染の法衣に包んで、いとも慇懃に小腰を屈めます。
「…………」
丈太郎は玄関に立ったまま、暫らくはこの不思議な客を見詰めました。近頃は人に顔見られるさえ疎ましい気分ですから、香合せなどをする気は微塵もありませんが、相手の尼法師の調子が滑らか過ぎて、一寸咄嗟の間には断わり切れなかったのです。
それに、手討にされたお園の事が気になって居る矢先き、仏像破壊を道楽にして居る悪魔的な丈太郎にも、後生気というものが蘇がえったのでしょう、尼さんを招じ入れて、せめて供養でもして貰ったらと言った心持で、