Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
が見えません。何うしたわけで御座いましょう」
思い悩む体で、松本鯛六は斯う申しました。彫物職人とも思えない人品や水際立った男振りは、尾羽打ち枯らして居ると言うものの、さすがに全盛を極めた小紫の思われ人と言ったおもかげがあります。
「いや、その事でお前さんをお待ちして居たんだ、――こんな事を申しちゃ何んだが、あの人形には、どうも怪しい事がありますね」
「ヘエ」
「その為に宮川先生の十二ヶ月人形が、幾つ壊されたかわからない、そればかりでなく、木戸番の八って野郎は目を廻すし、私までが腕を挫く騒ぎ、いやはや、面目次第も無いが、あんな不気味な事が続いちゃ、どんなに人気があったところで、私の小屋へ並べて置くわけには行きません」
「ヘエ――」
松本鯛六は少しあっけに取られた形です。何が怪しい事で、何が不都合なのか、まるで見当も付かないのでしょう。
「ところで、此の間からあの人形をどうしても譲ってくれと言う人があります。金に糸目を付けないから強ってと言う執心、一応も二応も断りましたが、何んと言っても聴きません。人橋を架け、黄金の雨を降らせての強談、私も斯んな弱い稼業をして居る身体で、これには全く弱り入りました。