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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

俺を斬って、貴公の汚名が雪がれるなら、半歳あまり厄介になったお礼に、この首にのしをつけて進ぜよう」

堤軍次は、言い度い放題の事を言うと、左手を畳に突いたなり、右手を挙げて自分の首を丁と叩きます。柄に似ぬ逞ましい腕へ、真紅な縮緬の襦袢が、炎のようにチロリと絡もうという寸法、大変な侍があったものです。「無、無礼だろう堤」

「いやもう、貴公の仰しゃる通りだ、こんな無礼な人間は無いよ、だがね南条、人の許嫁――藩中誰知らぬ者無き仲を割いて、ぬくぬくと妾にしてしまった男と何方が一体無礼だい――解ったか」

「…………」

「解ったら、その女敵を斬る気になれ、貴公の当の敵は、本田北見之守だよ」

「…………」

あまりの事に、南条左馬之助も、空いた口が塞がりません。

「早い話が、黒田騒動の倉橋重太夫になるんだよ」

堤軍次の眼は、この時異常に光ったのを、南条左馬之助は見落してしまいました。

「…………」

曽つてはお雪と並べて、男雛のように美しさを謡われた左馬之助は、一刀をガラリと投げ出して、もう一度高々と腕を拱きました。

左馬之助の為には、生れ落ちた時からの許嫁、染谷宗右衛門の娘お雪が、来年の春は祝言を取り極めた矢先き、十七歳の蕾の花をり取るように、殿様のお目に留まって召し出されてしまったのです。