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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうだい、大掘出物だろう、こいつは人形ッ首のお雪殿よりは洒落て居るぜ」

堤軍次は毎日のようにやって来て、こんな事を言いますが、左馬之助はもう、腹を立てる気にもなりません。お金に対する溺愛は日毎に募って、一にもお金、二にもお金と、奉公人達が目の隅で笑うのも気が付かないという有様でした。

このままで済めば、奇談でも何んでも無くなりますが、間もなく左馬之助とお金の身の上に、大変な事が起こってしまいました。

主君本田北見之守の下屋敷は、向島の小梅で、名題の桜の名所、丁度花も満開という三月十二日、毎年の例になって居る桜狩がその広大な庭園で催されました。

この時ばかりは無礼講で、殿様も家老もありません。家中の老若男女――と言ったところで、江戸詰の人数は多寡が知れて居りますから、それに奉公人や、出入の商人の素姓の正しい者を加えて二、三百人、咲き揃った桜の下、萠え出る草の上に毛氈を敷いて幾組も幾組も酒宴が始まります。

女は女同志、若侍は若侍同士、気や年の揃ったのが銘々一と塊りになって、最初は左様然らばの献酬をして居りましたが、やがて夕づく陽の色と共に酔いが廻ると、若いのも老いたるのも、女も男も、混然雑然となってしまって、管絃と歌声とを縫ってキャッキャッという騒ぎです。