Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

思うこと一つとして成らざるなき北見之守にも、この蛇使いの女ばかりは、どうしても自由にならなかったのです。

「金、顔を挙げえ」

「…………」

狭い船の中ですから、聞えるも聞えないもありません、お金はすぐ側に三つ指を突いて、頑固に黙り込んで居りますが、その俯向いた美しい顔には、きかん気が虹の如く輝やくのはよくわかります。

「不都合な女だ、飽までも予に盾を突く気か」

「…………」

「丁度百日辛抱した、もう許さんぞ」

水色絽の単衣、町家風に瀟洒を装ったお金は、恐ろしい意味の潜むらしい、北見之守の威嚇にも顔をあげようとはしません。

「どうだ金」

「恐れ乍ら申し上げます、此の上の願いは、この金にお暇を下し置かれますように」

「何?」

「私はもう、つくづく厭になりました。死んでもお前さんの儘にはならないから、さっさと帰して下さい」

顔を起こすと、北見之守の脂切った顔を正面に見据えて、可愛らしい唇を衝いて出る啖呵は火のよう。美玉の如き顔は少し上気せて、黒い瞳がキラキラと星の如く輝やきます。

「無、無礼者、誰かある」

「はッ」飛び出した二、三人。

「女ッ、御諚だぞッ」

折り重なってお金を舷に押え付けました。