Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
女をひたしたカクテール
「イヤ、乞食の真似はし度くない、これでも画家の端くれだ、――時々私の絵を買って貰えないでしょうか」
「そんな事なら非常に結構だ、君の絵なら何枚でも引き受けるよ」
私は此の男がまだ絵の天才だけは売らずに居ることを知って居たのです。
「有難い、それで話が極った、妙子、精々旦那様にすすめて、俺の絵を高く買わせろ」
最後にはそんな冗談などを言って、何うやら機嫌よく帰って行きました。
女をひたしたカクテール
その後三、四ヶ月のうちに、巽九八郎は三枚の絵を持ち込みました。一枚は五十号ほどの半裸体の妙子の像、一枚はこれも同じ大きさの私の像、どちらも写真と想像と記憶とを力に描き上げたと言いますが、実に見事に出来て、こればかりは巽の人格と没交渉に敬服させられます。
「巽は悪いところは皆んな性格へ現われて、善いところは全部絵に現われるんだぞ」
私は妙子を相手にそんな事を言った位です、この二枚は寝て居ても見られるように、私共の寝室に掛けましたが、巽の日頃のグロテスクな趣が少なく、何んとなく明るく和やかな肖像で、実に不思議な良い出来です。
もう一枚は風景で、多分多摩川あたりの朝景色というところでしょう、平和な田園が如何にもよく出来て居たので、これは階子段の上へ掲げました、六十号位の横物です。