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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

広い屋敷の中、暫らくは誰知る者も無かったのですが、近頃桜子の変った様子に気が付いたのは、長年側に付いて居た忠義者の小間使のお春でした。

雀の子のように朝早く起きた桜子が、近頃大変朝寝をするようになったり、一日妙にぼんやりして暮して居るのに、日が暮れると急にソワソワし始めたり、今まで必ずお春を隣の部屋に寝かしたのが、近頃疳が亢ぶると言って、幾間も幾間も隔てて寝かしたり――。

勘定して来ると沢山ありますが、一番お春に心配さしたのは、桜子の寝室から、夜半過ぎになると、何やら喃々と語る声や、忍び笑いの声が漏れて来ることでした。

七日目の晩、お春は到頭辛抱し切れなくなりました。ソッと忍んで行って、昼のうちに作って置いた、障子の隙間から覗くと、何んと言うことでしょう。

床の上に桜子と押し並んで坐ったのは、見も知らぬ美しい若衆、肩と肩と、頬と頬と触れるばかりに、真紅の紐で仲睦まじく綾取りをして居るではありませんか。

「あら、又間違えたでしょう」

「御免なさい、桜子様」

四つの白い手に、真紅の紐が蛇のように絡んで、涼しい眼と眼、可愛らしい唇と唇が誘い合うようにニッコリします。