Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
日頃沈着過ぎるほど落ち付き払った人ですが、何をあわてたか、ろくに挨拶もせずに通って、
「イヤ、何んとも驚き入った、一応仲人を差し遣わすのが順序だが、あまりの事に、私がやって参った次第じゃ。娘の奴、何を寝呆けたか、婚礼の当夜無断で抜け出して、勝手に家へ帰るという法はあるものでは無い。手討にもすべきところだが、兎に角、一度は連れて参った、先代と私との仲に免じて、勘弁してもらい度い」
立てッ続けに斯んな事を言います。
「何を仰しゃるのです。お夏は此方に居ります。何んか間違いでは御座いませんか」
「イヤ、そう言われると穴へでも入り度い、今朝起きて、心淋しい気持で娘の部屋を見ると、昨夜此の家へ送り込んで、確かに祝言の盃までした娘が、角隠しのままの花嫁姿で、自分の部屋に正体もなく寝込んで居るではないか、驚いたの驚かないのではない、叩き起して聞くと、三々九度の盃を済ませたまでは知って居るが、仲人に手を取られて立ち上った切り、あとは夢のようで一向覚えが無いと言う始末だ。何んとも申訳が無い――」
聞かん気の老人ですが、娘の不始末に恥じ入って、禿げ上った額へ冷汗を掻いて居る有様。