Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

毒の花、八百歳の妖女

「…………」

江柄三十郎は全く当惑してしまいました。そっと立ち上って次の間を見ましたが、そう言えば今までいた筈のお夏が何処へ行ったか、舅の姿が見えると同時に消えて無くなってしまいました。玄関には本当のお夏が、ションボリ坐って居りますが、顔形ち、着物の様子まで、昨夜自分と添い伏した新嫁とはまるッ切り違います。此方は採り立ての果物のように純潔ですが、その代り妖艶な美しさは無く可愛らしくいじらしいというだけで、先程まで此処に居たお夏ほどは心牽かれません。

「いずれにしても、右の始末じゃ、これが世間に知れると、私は腹でも切らなければならん、先代からの顔に免じて、勘弁してもらい度い、里の近いのも良し悪しじゃ、いや早」

舅の佐市は婿にはあまり物も言わせず、

「二度と斯のような事があると、許しては置かんぞ、死んでも帰ってはならん、解ったか」

日蔭の花の如く萎れて居る玄関の娘を叱り飛ばして、そそくさと帰って行ってしまいました。

毒の花、八百歳の妖女

それから三日過ぎました。お夏は事もなく落ち付いて居りますが、三十郎にしては、初夜に契ったもう一人のお夏の、輝やくばかりの美しさと、妖艶な取りなしが、どうしても忘れられません。