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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

温室の闇に匂う美女の頬

「それなら丁度良い塩梅だ。私のところのタイピストが、結婚をするんで止し度いと言って居るから、その代りに来て見る気はありませんか」

「え? 本当ですか」

女の声は、蘇がえったように活々と響きました。

「一応私の店の共同経営者に話す必要はあるが、――文句は無いでしょう。どうせ要るタイピストなんだから」

二人は話し乍ら、八階に通ずる差掛屋根の方へ近づいて行きました。大東京の灯も次第に小さくなって、自動車のヘッドライトが、縦横にアスファルトの上を駆馳するのが、玩具箱の中の仕掛花火を見るように不思議な美しさです。

「あッ、これはいけない」

扉へ手を掛けた私は、思わず、大袈娑な声を出してしまいました。

「何うしたのでしょう?」

「締め出しを食わされた」

「エッ」

「小使が廻って来て、何時の間にか差掛屋根の扉を内から締めて行ったんです。屋上庭園に、人間が居るとは気が付かなかったでしょう」

「何うしましょう」

二人は、呆然として、厳重に錠された扉の前に立ち尽しました。

温室の闇に匂う美女の頬

十二時になると、此のビルディングのすべての入口は鎖され、帰るべき人は帰り、留まるべき人はベッドに入ることになって居たのです。