Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
――丸茂が生きて居たら、一年経たない内に、この商会に持って居る貴方の権利がフイになる事に気が付きませんでした? まア、何んてお坊っちゃんでしょう。私と最初に逢った晩、差掛屋根の扉を締めて、貴方を屋上庭園へ曝し物にしたのも、みんな丸茂の仕業ですわ。貴方が夜遅く散歩する癖があることを知って、締出を食わせて置いて、金庫の中の書類へ細工をしたんです。――満更、心当りが無いわけでもないでしょう」
そう言えば、丸茂三郎が死んだ後、私は帳簿の上に幾多の恐ろしい疑問を見ましたが、そこまでは流石に疑う気になれなかったのです。
「丸茂はどんなに悪党か、貴方は何んにも御存じ無いんだワ。あの男は今から十五、六年前、或る未亡人に取り入って、その財産をすっかり横領した上、切れた靴下のように捨ててしまった事があるんです――気の毒なことに未亡人は、丸茂の薄情と冷酷を呪い続けて、間もなく自殺してしまいました。後に残された娘が、乞食の子のように卑しめられ乍ら、血と涙のにじむような奮闘を続けて、自分の才能と美しさで、何うやら彼うやら成人したとしたら、丸茂に対して、何んな事をしたら宜いでしょう」