Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
と、金兵衛の眼に付いたのは「徳大寺公城」という署名であり、その下におされた血判であった。
「…………」
金兵衛の胸は動悸をうった。
「こりゃア例の巻き奉書だ!」ムズと金兵衛は巻き奉書を握った。「目付けた目付けた巻き奉書を目付けた!」――否、口に出していったのではない、口の中で歓喜して叫んだまでであった。で、ヌッと立ち上がって、潜りのほうへ走ろうとした。が、金兵衛はもう一品の、綴じ紙に心を引きつけられ、そろそろと立ち帰ったが、またも老人の前へかがんで、綴じ紙の頁をめくって見た。いくつかの図面を幾枚かの紙に、順序を追って描かれてあり、最後の頁に「竹内式部、可蔵者也」と記されてあった。
「…………」
もちろん金兵衛にはこの綴じ紙の、性質も価値もわかっていなかった。しかし、竹内式部という、この署名こそは金兵衛にとっては、何物よりも権威があった。
「竹内式部可蔵者也と、ハッキリと記されている以上は、式部先生の持ち品とみてよい。では『あのお方』へ捧ぐべきものだ」金兵衛は突嗟にこう思った。「巻き奉書と往来側に、一緒に置かれてあるからには、連絡のある物かもしれない。いずれは重大な品なのだろう」