Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
七ヵ国の七権臣
、とりわけ明るく明るめていた。懐紙が開いたまま座の一所にあった。講義を聞いていた武士たちの一人が、ひそかに取り出して使ったが、講義を聞くのに気を取られて、懐中へ入れるのを忘れていたのであろう。青々とした畳の上に、純白の懐紙が置いてあるのであるから、あるだけの燭台の燈火の光が、それへ吸収されたかのように、いやが上にも白く見えた。と、その懐紙がパッとめくれて、二、三葉が部屋の中を歩いた。
紋也が襖をあけたので、あけられた隙から風が吹き込み、そのように懐紙を歩かせたのであろう。と、いっせいに部屋の武士たちは、紋也のほうへ顔を向けた。
「薩、長、土、肥に水戸に越前か!」とたんに紋也が呻くようにいった。「佐賀藩の重臣もおいでなさる!」
七ヵ国の七権臣
「薩、長、土、肥に水戸に越前か! 佐賀藩の重臣もおいでになる!」こう紋也の呻いたのには、もっともの理由があるのであった。紋也が襖をあけた瞬間に、紋也の眼に見えたものといえば、例の異国ふうの大棚と、神々しい儒者ふうの老武士とすわっている二十人余の武士と、これも端然とすわっている部屋の中央の七人の武士と、大きな五基の燭台と――そういうもののいっさいであって、それも別々にハッキリと、見えて来たのでは決してなくて、そういうものが一つに塊まって一度に見えて来たのであった。